うきうき感想帳

友人に書くつもりで書くと書きやすいらしい。BLが多いかもしれないし、多くないかもしれない。

糖衣 悦史ルートでわやになる

因習の村!(あいさつ)

因習の村ってなんでこうもワクワクするんでしょうね。BLってなんでこうもワクワクするんでしょうね。面白い物語ってなんでこうもワクワクするんでしょうね。

全部あるらしいので糖衣をやりました。まだフルコンプはできていないのですが、今の時点でかなり最高です。

www.freem.ne.jp

ホラーと銘打たれたその名に違わず、怖くてお酒を飲まないと眠れなくなったり帰省へのハードルが上がったりしましたがフィクションに心を揺さぶられるという体験は現実よりも尊重されるべき事柄なので何の問題もありません。

ちなみにWindowsしか対応していないゲームに関しては、いつもはmacBoot Campを突っ込んでやってるんですがなぜかこの方法だとセーブデータが作れなかったので10年以上前のdynabookを引っ張り出してプレイしました。macユーザーで糖衣がやりたい人は気をつけてください(そもそもBLゲームをやりたがる人はちゃんとWindowsを持ってると思うんですが…)。ちなみにdynabookを持ってからmacを持つと「お前…軽いな。まるで羽みたいだ…」と前時代の攻めごっこができて楽しかったです。

そんなことはいいんですよ。糖衣の話をしますよ。ネタバレもします。

例によってこんな辺境に来る人は既プレイと相場が決まっていますからね。

 

ホラーというのは聞いていたのでびくつきながら読んでいたんですが、主人公の立ち絵が出てきた瞬間にすごい勢いで視線を誘導してくるCuriosity killed the catの文字列で「ウワー! もう終わりかもしれない」と謎の諦めを得ることができたのでよかったです。君も好奇心で身を滅ぼそう!

民俗学の本を読み漁っていた時期があったので、冒頭で語られる」が「茂狩」に転じた箇所でもうクラッカーを鳴らしていました。途中途中で語られる話に作者さんの知識の深さを伺えて興奮しました。自分の知識の浅さを突きつけられるたびに興奮する体質なので終始興奮していたと言っても過言ではありません。

冒頭の伝承が終わって滑らかに我らのメイドガイ・ヤシロさんが出てくるんですが、「メイド服を着た男性」が性癖なので火柱をあげました。笑い方が「にゅふふ」とかでまあ言って仕舞えばぶっ飛んだキャラだなというのが第一印象なんですが、シンプルに頭がいいですね彼。カカシのあたりとかは怖くて毛布を被っていたんですが、ヤシロさんのお話を聞いてからは布団から抜け出して読み進めることができました。不安な時に理路整然と落ち着いて話してくれるの本当に助かります。清涼剤。

>「にゅふふ、忘れちゃったんですか? 蘇芳様が初めて大江家にきた時に言ったでしょう、ヤシロは、ずっと蘇芳様の味方だって」

好き…………………

 

だからこそ悦史ルートでその……………

傷つきました。

そしてラストで胸を撫で下ろしました。よかったね。悦史ルート終わったあたりで「ヤシロって社とかから来てるのかな」とか思っていました。

悦史という名前を出してしまった以上彼のことは避けられないですよね。

浦戸悦史くんの話をしますよ。

というかこの怪文書を書いている人はまだ悦史ルートしかできてないんですよ。

何故かって「にわにいた」が怖すぎて周回できないんですよ!!!!!!

許してほしいです。

 

 

彼の話を読んでいる間、気持ちが乱高下しっぱなしでした。

『忘れられた幼馴染』が嫌いなオタクっているのか?

主語デカ罪(しゅご-デカ-ざい)で逮捕されそうですね。

少なくとも私は大好きなので大変健康によかったです。

 

初登場のシーンで頬を急に染め出したので「お、これは忘れられた幼馴染だな」と察することができました。助かる。

 

途中途中で挟まれる回想を見る限り、りょうちゃん=悦史くんなんだろうな、というのはわかるんですが、幼少期の高慢さがなりを潜めているのは何故? 家督を継ぐはずの長男が女装をさせられているのは何故? 学校であんな仕打ちを受けるほど軽んじられているのに、老人たちに対しては権力を振りかざせていたのは何故? りょうちゃんの由来は? とか、もろもろ疑問を持ちつつ進めていました。

今思い返すとアホですね。だってこのゲームのタイトルは『糖衣』

ダウンロードフォルダ名は『sugar-coated』

ejje.weblio.jp

さすがに察しなさいよ!!!!!

 

りょうちゃんの由来は蘇芳より早く気づけたのでちょっと嬉しかったです。(BLゲームを謎解きゲーと勘違いしている人?)

 

あと図書館で本を借りる時、鬼の本を借りると悦史に分岐するのはなんでだろうな🎶とか思ってたんですが、彼の正体が判明する時に理由がわかって目からウロコがボロボロ落ちましたね。あと苗字がウラド公から来てることがわかった瞬間の頭の中でスライドパズルがカチカチカチカチ!!!!!!!って解かれてくような感覚忘れられません。すごすぎる。そりゃあんなド田舎にクソデカ洋館を建てますよ。しかしBLゲームに出てくるクソデカ洋館の北里研究所率(n=2)。

今思うと私服が妙にオシャンだったのも「あ〜」になりますね。細かいところまで行き届いている……という感動。微に入り細を穿つとはこのことですね。

 

あと鴻森もよかったですね。蝙蝠(強そうな方につく・反響定位・吸血鬼の眷属)というトリプルミーニングに舌を巻きました。もしかしたらまだ意味が込められてる気がするので、優しい人がいたらそっと教えてほしいです。

そして何と言ってもボーイズ・執着。

蘇芳に対する暴力のシーン、嫉妬とか命令とかでねじれにねじれていて読んでて苦しかったです。でも暴力をちゃんと暴力として描かれていて嬉しかったですね。暴力って時折ポルノとしても描かれるので、そこを切り分けて書かれたような印象を受けました。こういう書き方をしてくれる人に対して、勝手に好感度を上げてしまいますね。ありがとうございます。

あと悦史くんが今までずっと「渡辺」呼びだったのにこの一件で「蘇芳」呼びになってにちゃにちゃしました。本編はそれどころじゃないってのに……。

 

それと渡辺蘇芳、人間が出来すぎててびっくりしました。

>けど悦史、いずれ俺を疎ましく思うようになるのはお前の方なんだ。

>俺はお前に純粋な行為を向けられて、ありえない期待をしてるような男なんだよ。

>悦史はこの村で、一生分傷ついてきたはずだ。

>だからこそ俺だけは悦史を裏切るような真似はしたくない。そのためには何が何でもこの想いを隠し通す必要があった。

 

>例え俺が悦史とキスしたいとか、悦史の裸が見てみたいとか、つーか悦史って勃起するの? 性欲はあるの? とか、悦史になら抱かれてもOKとか思っていたとしても、そんなものは全部なしだ。

 

>こいつとの友情を守り続けること。

>それは蘇芳くんじゅうななさいにとって、大分辛い仕事になるだろう。

これ本当に友人を慮らなきゃでてこない思想だよな……と、彼の優しさにシンプルに感心していました。

それはそれとして私はこのゲームがBLゲームであると知っていたので不気味な笑みを浮かべるBL山姥にもなっていました。あと想像以上に最強のマゾでよかったですね。マゾ性と善性は両立できる!

 

しかし悦史くんからの熱いアプローチで押し殺しかけていた健気な想いも氷解するわけです。よかったね。

 

そして晴れて恋人同士になった二人はいちゃつくわけですが、私がこのクラスにいたら多分胃痛でとんでもないことになってたんじゃないでしょうか。

因習の村あるある・二つのでかい家の対立という時点で「フィクションとしては最高だが、リアルでここに放り込まれるのは勘弁」という気持ちを掻き立てられますが、そこの「一方の長」と「もう一方の長の甥」が仲良くしてたら、多分私はナマモノ萌えと胃の痛さで保健室登校とかになってると思うので、私の故郷が茂狩村じゃなくてよかったな〜と思いました。

 

そしてくっついてからも物語が続くのでガチでびっくりしました。まだ読んでていいのか!?いいよ!!!

 

ウキウキしていたら鴻森が不穏なことを言ってきましたが初回の私は悦史くんを信じきっていたので誘いに乗りませんでした。このゲームのタイトルを忘れたのか?

 

いきなり化けの皮を剥いできたので怖くて震えながら監禁BADを見ました。しかし口頭でちゃんと了承を取るあたりが化け物っぽくてよかったですね。口約束でも契約は契約ですからね。許可を得ないとね。

「勝ち戦」の意味が初回はわからなかったんですが、GOODを見てからだと蘇芳の血を飲んで戦ってることが察せられる構成になってたことに気づいて、「フィクションが……うますぎる……」になりました。

 

GOODの話をしますね。

もえもえ(萌え-燃え)になりました。

バトル描写って最高!!それと罵倒ボキャブラリーが豊富でにっこりしました。キレッキレのセリフでテンションをぶち上げるのは麻薬にもにた爽快感がありますからね。麻薬をやったことはないので知りませんが。

夜の山でのバトル描写、背景のチョイスと相まって想像力が掻き立てられて本当に楽しかったです。冒険小説読んでる時のワクワク感。「これほんとうに死ぬんじゃないか」という不安ぎりぎりまで書いてくださって、もう超面白かったです。

叔父の尊也さんが容赦なかったのもいいですね。しかしこの三親等、本当に攻略できるのか?

>「不思議なものだね。こうしていると私はとても優しい気持ちになれる。君の苦痛に歪む顔を見ていると、許しがたい所業も許せそうな気がする。あの頃のように素直な気持ちで君を好きになれるような気がするんだ。ああもちろん──そんなもの、所詮は気のせいだがね?」

>「蘇芳くん、私は今改めて知った思いがするよ。やはり私の幸福に、君の不幸は不可欠なのだと」

このあたりでは渡辺蘇芳、こいつやめたほうがいいよ……と思ってたんですが、

>「いい加減駄々をこねるのはやめて私に許しを請いなさい。今の君を救えるものは、私以外には誰もいない」

お?となったので叔父ルート楽しみですね。

 

しかし二人で逃避行、しかも悦史くんは蘇芳以外の何もかも、それも家も故郷をも捨てて夜の山を駆けるの、ロマンチックですね。実態は命懸けだし、必死なんですけど……。ここで吸血鬼設定をここぞとばかりに活かしていて大興奮しました。顧客の求めているもの全てがここにある!

 

鴻森!お前!!!!にはなったんですがそれはそれとして切実だったね彼の気持ちも。といった感じです。「この村に生まれてなけりゃあな……」という気持ちになりましたが、そんな思いは「そもそもこの村が無けりゃあな……」と同義なので意味のない仮定でしたね。

>「どうした? 血を搾り取られたい奴からかかってこい」

最高──────

ブブゼラ鳴らせますよこの興奮で。

浦戸衆の後に叔父が来るんですが、

>「この私に後ろ足で砂をかけておきながら、のんきに姦通か? おめでたいにも程がある」

すげえキレのある罵倒だよ……と絶句してました。洋妾(らしゃめん)の意味を検索してひっくりかえりました。よくこんなぴったりの語彙が存在するなと感服しましたね。

あと水音で嫌な感じはしてたんですがマジで泣くかと思いました。

プレイ中のリアルタイム感想に

「ヤ

 や

 嘘だろ

 

 あの…

 paradiseのマツダ極BADと同じくらいの傷を負いました」

と書いてあったので相当ですね。細かすぎて伝わらない選手権を一人で勝手に開催して申し訳ないです。

>俺はようやく、お袋が執拗に帰るなと言った真の理由が理解できた。

>鬼がいるから帰ってはいけないのではない。この土地には最早、鬼しかいないのだ。

 

本当にそう。その通り。

そして蘇芳がいろいろあって自分の体質やら悦史くんの決意やらを巻き込んだ結果勝つんですが、その後の

>「──こんなあっけないもののために、こんな土地のために、あんな女と家のために! 俺の人生は、人生は、一体なんだったんだよ……ッ!」

でもう──────

本編であんな豹変を見せても彼のことが嫌いになれなかった、むしろ好きになれたのは、こういう弱さもちゃんと見せてくれたからじゃないかな、と思っています。

蘇芳はマジのガチで懐が広いので、がっしり受け止めてくれてて見てて安心しましたね。本編であの大立ち回りができた二人なので、これから先どんなことが起きても二人でずっと一緒にいる約束を守り続けるんだろうな〜と思います。幸あれ!

 

この二人の後日談が読みたいよ〜と暴れ回っていたらありました。

www.dlsite.com

買いました。超よかったです。BADエンドのその後もあったのですが、BADエンドのその後はどれだけ観測してもやはりBADのままなのだと確信を得ることができました。

最高!!!!!

成人してて、よかった〜!!